要介護になるきっかけとは|要因を3つのモデルから考える

在宅介護

誰しも自分や家族が要介護になってほしくはないと考えていると思います。

このブログは「100年戦略ブログ」という名前で、人生100年時代、元気に楽しく暮らすことを目指していますが、できるならば要介護にならないことが基本戦略です。

戦略とは「戦いを略す」と書きます。

また、「予防に勝る治療はない」ともいいます。

介護という戦いを避ける(もしくは遅らせる)ためにはどのようにすればよいでしょうか。

そもそもどのような理由で要介護になるのか考えてみました。

何がきっかけで要介護状態になるのか

何がきっかけで要介護状態になるのかを考える資料として、厚生労働省が行った「国民生活基礎調査」という調査結果があります。

これによると最も多いのは「認知症」18.0%、次に多いのは「脳血管疾患」16.6%と続きます。
割合としては数%と少ないの項目が多く続き、いわゆる「ロングテール」のデータを示していることがわかります。

私は大別すると以下の3つのモデルに分類可能であると考えました。
「廃用性モデル」「生活習慣病モデル」「認知症モデル」の3つです。

廃用性モデル 35.6%
 高齢による衰弱  13.3%
 骨折・転倒  12.1%
 関節疾患  10.2%
生活習慣病モデル 23.9%
 脳血管疾患  16.6%
 心疾患  4.6%
 糖尿病  2.7%
認知症モデル 18.0%
 認知症  18.0%

この3つの分類で、全体の約80%の原因をカバーしています。

要介護になるきっかけの3つのモデル

廃用性モデル

廃用性モデルとは、活動性に乏しい生活習慣を送ることで、体の様々な機能(特に筋肉や骨)が衰えるケースです。
生活不活発病と呼ばれることもあります。

高齢者に限らず、人間の体は使わなければ必ず衰えるようにできています。
宇宙飛行士も無重力空間では何もしなければ筋力が衰えるためトレーニングをしますよね。

お年寄りのためを思って、お年寄りのやるべきことを肩代わりすると、結果として廃用化を進めてしまうことがありますので注意が必要です。

具体例1 骨粗鬆症から転倒、骨折、筋力の低下

骨の強度が低下して骨折しやすくなる病気を骨粗鬆症といいます。
ちょっとした転倒から骨折し、入院することになります。
治療を受け退院した時には、骨折は治っていますが、体を動かすことができなかったため、筋力が低下し生活に支障をきたし要介護となる事例が多くあります。
また、一度の入院では介護にならなくても、何度も入院を繰り返すうちに徐々に筋力が低下するということもあります。

具体例2 外出機会の減少から、閉じこもり、寝たきりに

高齢者は、外出時に失禁してしまった、迷子になってしまったなどのちょっとした理由から、外出しづらくなることがあります。

家に閉じこもりがちになると、体力の低下が進んでしまいます。

そして、最終的には寝たきりになってしまい要介護となります。

寝たきりになると、体中の筋肉が衰えます。
高い位置まで血液を送る必要もなくなるため心臓の筋肉も衰えてしまいます。

生活習慣病モデル

生活習慣病モデルとは、生活習慣病を発症し、後遺症が残り要介護となるケースです。

近年、診療体制や医療技術が進歩したことにより、救命率は高くなってきていますが、その後の生活は要介護となってしまうことがあります。

具体例1 脳血管疾患の後遺症

脳血管疾患とは、脳の血管の異常が原因で起こる、脳や神経の疾患の総称です。
「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」などが該当します。
脳血管疾患を発症した場合、手術で一命をとりとめても、その後、後遺症が残ることがあります。
脳血管疾患による後遺症は主に以下のようなものがあります。

運動障害:片麻痺(反対の脳の損傷にて発生)、手足が自由に動かせない。
膀胱直腸障害:排尿・排便のコントロールができない。
高次脳機能障害:情報処理能力、記憶力の低下。
・表情が作れない
・失語症:喋れない
拘縮(こうしゅく):関節が動かなくなる。

具体例2 心疾患の後遺症

心疾患とは心臓の機能が低下する病気の総称です。
中でも「虚血性心疾患」は、心筋に血液を送る冠動脈の流れが悪くなり起こる病気のことです。
狭心症は、冠動脈の血流が悪くなって心筋に必要な血液が不足し、胸が痛む症状です。
心筋梗塞とは、冠動脈が詰まることで、心筋に血液が供給されなくなる症状です。
発症後20分で心筋の細胞が次々と壊死していき、死に至る場合も少なくありません。

後遺症の例としては以下のようなものがあります。
・心臓の機能が低下しているため、疲れやすい、体力がない など
・脳機能の低下によるふらつき、めまい、立ちくらみ
・再発の不安、食事制限の苦しさなどから起こる抑うつ症状
不整脈などの合併症

認知症モデル

認知症モデルとは、徐々に進行する認知機能低下のために、日常的・社会的に支障をきたし介護が必要となるケースです。
身体能力は障害がない場合も多く、一見して要介護状態であることがわからないことも多いです。

認知症には様々な種類がありますが、日本では「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」が3大認知症と呼ばれています。

また、認知症高齢者は今後急速に増加することが予想されています。
厚生労働省の「認知症背作推進総合戦略(新オレンジプラン)」によると、2012年には462万人だった認知症高齢者は2030年の段階で、744万人にまで増加するとの予測データがあります。

認知症は進行性の病気であり、根本的に治療することは困難であると言われています。

3つのモデルはお互いに影響・複合する

高齢になると、複数のモデルの症状をもった人も珍しくありません。

他にも一つのモデルで悪化したために、他のモデルの症状が発生することもあります。
例えば、脳血管疾患の後遺症のために、日々の活動量が減少したため、筋力が低下したり、認知症が進行したりするといった場合です。

また、糖尿病の患者は、認知症が進行するリスクが高いことも知られています。

まとめ

要介護にならないことは人生100年時代を生きる上で重要なテーマです。

一口に「介護」といっても様々な症状があります。

介護予防の対策を行う場合も、介護を行う場合も、どのモデル(症状)が対象なのか、きちんと分けて考えることは非常に重要と考えます。

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