この記事は、在宅で認知症の家族の介護をしている人に向けて書いています。
「家族を施設に入れたくない」
「できれば住み慣れた自宅で最後を迎えさせてあげたい」
「デイサービスや訪問介護を利用しているが、介護が大変でくじけそう」
そのような人に、小規模多機能というサービスがあるということを知ってほしいと思い
記事を書きました。
小規模多機能とは
小規模多機能とはどんなサービスでしょうか
簡単にいうと、文字通り小規模で多機能なサービスです。(そのままですが・・・)
小規模・・・登録定員29名以下
多機能・・・「通い(デイサービス)」「訪問(ホームヘルプ)」「宿泊(ショートステイ)」を
一つの事業所で利用できるサービスです。
料金は定額サービスで、利用者の要介護度により異なります。
以下が月額の基本料金となります。
要介護度 | 金額 |
要支援1 | 3,418円 |
要支援2 | 6,908円 |
要介護1 | 10,364円 |
要介護2 | 15,232円 |
要介護3 | 22,157円 |
要介護4 | 24,454円 |
要介護5 | 26,964円 |
地域により金額は異なります。(都会ほど高くなります。)
また、これに各種加算が加わりますので、あくまで目安とお考えください。
定額制のため、月に通いや訪問をいくら利用しても金額に変更がありません。
定額制なら「毎日、通所サービスを利用できる?」と疑問に思われた方もいらっしゃるでしょうが、残念ながら毎日は利用できません。
なぜなら、例えば通所であれば、登録定員は29名までですが、
「1日の通所で利用できる人数は最大18名まで」と決められているからです。
全員が毎日行こうと思うと、通所の定員がパンクしてしまいます。
通常ですと、週3~4日通所を利用するというのが一般的と思います。
似たようなサービスに「看護小規模多機能型居宅介護」というものもあります。
これはざっくりいうと、医療処置を行うことのできる小規模多機能です。
医療行為が必要な方はこちらがよいですが、利用料はやや看護小規模多機能の方が高くなります。
メリット
小規模多機能のメリットは以下の2つです。
臨機応変な対応が可能
小規模多機能は困った時には24時間365日対応してくれます。
このことは認知症をもつ家族にとっては非常にありがたいことです。
認知症の人を介護していると、急であったり、深夜にトラブルが起こることなども多いですよね。
通常のデイサービスや訪問介護ではこのような緊急対応はしてくれません。
(というか時間外にサービスを行うことは法律で禁じられていますので、やりたくてもできません。)
いざという時に、いつでも介護のプロに相談できるということは、
お守りを持つような安心感があります。
少人数制
小規模多機能の事業所は、登録定員が29名と決めれれているます。
スタッフや利用者も人数が少なく、利用者がなじみやすいというメリットがあります。
認知症の人にとっては、知らない人と接することは非常に大きなストレスとなります。
例えば、
通常であれば、ショートステイを利用する場合は、
ショートステイのスタッフの方が家に迎えに来てくれます。
利用者からすれば見慣れない人が迎えに来るので、「よく知らない人のところへは行きたくない」と感じ、一緒に行くことを拒否するといったことがあります。
そうなれば、利用を諦めるか、無理やり連れて行くかのいずれかになります。
当然ですが、無理やり連れて行くことは、認知症の人にとって大きなストレスとなり、
認知症の周辺症状が悪化する場合があります。
小規模多機能であれば、いつもと同じスタッフが迎えに来ますし、いつものデイサービスからそのまま宿泊へ移行できますので、利用者からしてもストレスなく利用することができます。
デメリット
小規模多機能のデメリットは以下の3つです。
ケアマネージャーを変えなければならない
小規模多機能を利用するためには、その事務所に所属するケアマネージャーを利用しなければならないきまりとなっています。
それまで使っていたケアマネージャーがいる場合は、変えなければ小規模多機能を利用できません。
施設の数が少ない
デイサービスや訪問介護と比べると施設の数が少ないです。
厚生労働省の資料「平成29年 介護サービス施設・事業所調査の概況」によると各サービスの事業所数は以下です。
サービス種類 | 全国の事業所数 |
デイサービス | 44,777 |
訪問介護 | 36,564 |
小規模多機能 | 5,424 |
小規模多機能は自治体の指定を受けないと運営できないため、
事業所数は他のサービスと比べると少ないです。
そのため、サービス自体も認知度が低く、あまりよく知られていません。
他のデイサービス、訪問介護は利用できない
小規模多機能を利用すると、他のデイサービスや訪問介護などは利用できなくなります。
(訪問看護や訪問リハビリなどの医療系や、福祉用具や住宅改修などは利用可能です。)
探し方
このサイトをご覧になられているということは、インターネットを利用できる環境だと思います。
Googleなどの検索エンジンで、「市町村名」+「小規模多機能」で検索すれば、
電話番号や営業時間などの情報は得ることができるでしょう。
小規模多機能は、地域密着型サービスに該当するため、住んでいる市町村の事業所しか利用することはできません。
また、介護DB.comというサイトでは小規模多機能の一覧データベースが作成されていますので、こちらから探すのもよいと思います。
良い小規模多機能の選び方
よい施設かどうか判断するにはどうすればよいでしょうか?
以下の項目に注意が必要です。
- 運営者やケアマネージャーの考え方に共感できるか確認する
- 施設の雰囲気や従業員の表情が明るいかを見る
- 通所と訪問の標準的な回数はどれくらいか確認する
- 地域包括支援センターで評判を聞いてみる
まとめ
小規模多機能は知名度が低くあまり知られていませんが、
認知症の人にとって素晴らしいサービスです。
認知症の家族を自宅で介護するのであれば、在宅で利用するサービスの第一候補にするべきです。
通常の介護サービスと違うことも多く、利用しにくい点もあることも事実ですが、
自宅での介護を諦めて施設を探すまえに、検討してみてください。
コメント